川根本町で初めて、空き家バンク登録物件を⺠間事業者が購⼊・再⽣し、民設民営の「移住者向け賃貸住宅」として提供するプロジェクトがはじまりました。事業主体は、空き家買取専科(静岡ガスグループ株式会社Sweets Investment)、イエモク建成⼯業株式会社、川根本町経営戦略課定住・移住推進室。
少⼦⾼齢化と⼈⼝流出による深刻な地域課題である空き家問題に対し、⺠間と⾃治体が連携して解決に取り組むモデルケースです。
完成を記念し、2025年9⽉5⽇(⾦)・6⽇(⼟)11時〜15時に内覧会を開催します。物件⾒学のほか、移住・補助⾦・空き家活⽤の相談も⾏います。
■背景― 空き家数たった4年で27%急増⼈⼝減少が進む町の現実
静岡県川根本町は、⼤井川上流域に広がる森林豊かな町で、約90%が⼭林。南アルプス・ユネスコエコパークにも指定され、茶畑や渓⾕、温泉、SL列⾞、夢のつり橋など観光資源が豊富です。昼夜の寒暖差と霧が育む「川根茶」は全国的にも評価が⾼く、渓⾕美や星空、温泉など癒しとアクティビティを併せ持つ地域です。
⼀⽅で、⼈⼝は国勢調査をはじめた1965年の16,919⼈・3,577世帯(旧中川根町・旧本川根町合併前の合計)から減少を続け、2025年7⽉1⽇現在では5,599⼈・2,648世帯にまで減少。少⼦⾼齢化と若者流出が進⾏し、農林業や商業の担い⼿不⾜、耕作放棄地の増加、⽣活圏の縮⼩による買い物難⺠や交通インフラの課題も顕著です。
空き家数は2020年の506⼾から2024年には643⼾となり、たった4年で27%も増加しています。
町は2012年度から空き家バンク制度を運⽤し、これまで12年間で120件登録、80件が契約成⽴されました。しかし、賃貸としてすぐに住める物件は少なく、移住希望者と空き家所有者のニーズが合わずマッチングが成⽴しないケースが多くありました。特に移住希望者向けの賃貸住宅不⾜は慢性的な課題となっています。
しかし今回の事例は、空き家を再⽣することで“課題を資源に変える”モデルとして、町の未来に新たな可能性を開きます。
川根本町⼈⼝・世帯の推移
■「課題を資源に!」プロジェクトの経緯
空き家買取専科(静岡ガスグループ株式会社Sweets Investment)は、2018年より空き家対策の⼀環として、移住促進に取り組んできました。こうした背景の中、川根本町経営戦略課の担当者から「空き家バンク掲載物件の活⽤について連携できないか」という相談があり、このプロジェクトがスタートしました。
同社はまず第⼀弾として、川根本町上⻑尾地区の空き家バンク登録物件を購⼊し、内装リフォームや設備の調整、クリーニングなどを⾏い、移住者向け賃貸住宅として再⽣しました。
⺠間事業者による空き家バンク物件の賃貸活⽤は川根本町初の試みです。
■物件概要
所在地:川根本町上⻑尾1011
築年数:36年
間取り:6DK
延床⾯積:132.45㎡
地積:116.95㎡
改修内容:キッチン交換、キッチン洗⾯所床張替、襖・障⼦張替、クリーニング
家賃:59,000円/⽉
設備:キッチン新品、プロパンガス、⾵呂、エアコン、光回線可能
駐⾞場:敷地内軽1台、敷地外1台込み
⼊居開始時期:2025年9⽉15⽇以降
■担当者コメント
川根本町経営戦略課定住・移住推進室
移住定住の促進を主要施策に掲げる川根本町にとって、移住者の住まいの確保と空き家の解消は⼤きな課題です。今回、⺠間事業者の柔軟な発想と⾏動⼒によって、⼀つの道筋を⽰していただきましたので、今後も官⺠の連携を深めながら、移住定住促進と地域活性化を模索していきたいと考えています。
空き家買取専科担当:⽯川
増え続ける空き家は地域の未来を左右する⼤きな課題です。今回、私たちが空き家を買取り、リフォームし賃貸住宅にする事で、移住者が来やすくなると思います。まずは私達がきっかけとなる事例をつくる事で今後、さまざまな事業者にもこの輪に加わってほしいと願っています。
川根本町では、「新しい働き方」を生み出す動きも加速しています
かわねほんちょう水と森の里協同組合では、マルチワーカーを募集中。
この町で広がりつつある新しい働き方「マルチワーク」は、一つの職にとらわれず、季節や自分の関心に応じて複数の仕事に関わる柔軟なスタイルです。
「かわねほんちょう水と森の里協同組合」は、自然の恵みに支えられた多様な仕事と人をつなぎ、地域での新たなチャレンジや自己実現を後押ししています。
町内の異業種企業が1つの協同組合を組織し、業種ごとの繁忙期や閑散期を考慮した人材派遣を行うことで、年間通じて安定した雇用を生み出すことを目的に設立された「かわねほんちょう水と森の里協同組合」。
本組合には農業・林業・旅館業・菓子製造業等、さまざまな企業が参画しており、それらの職種で経験を積みながら、自分に合った仕事を探すことができます。
令和7年度にマルチワーカー複数名の採用を予定しており、事務局には、既にいくつかの問い合わせも入っているとのことです。
組合のHPはこちらからどうぞ。
川根本町では、移住を希望する方から最も問い合わせが多い「住まいの面」「仕事の面」のより一層の充実を図り、移住希望者の皆さんに「選ばれる町」になれるよう努力してまいります。